2014年度書いたもの〜京都コンポ編

卒業式も終わって、そこらじゅうで桜が咲き始めていて、もう今年度も終わりだなあという感じですね。
今年度も色々なことをやらせていただきました。

僕は京都コンポーザーズジャズオーケストラという関西を中心に活動するビッグバンドに数年前から常任の作家として書かせてもらっています。自分の現在を上回るものを本気で書いて、それを本気でやってくれるバンドというのは非常に貴重な存在ですので、自己の活動としても大きな意味を持っています。そんな京都コンポに今年度書いた曲の中から特に印象的だった4曲を紹介します。

去年の夏に書いた「Blue in Green」のアレンジではドラムとベースが黙々と速いスイングで刻み続け、管楽器はルバートにコンダクト、さらにピアノが独立して、3つの世界の同居に挑戦しました。この3つの世界がお互い引き合ったり跳ね除けたり交わったり、このアレンジメントはイントロ〜テーマ〜ソロ〜リキャップテーマという非常にシンプルな構成ですが、今までのビッグバンドにない世界を作り出すという視点で大きな意味を持っていて、この考え方が次に紹介するEfflorescenceにつながっていきます。

冬に書いたオリジナル曲「Efflorescence(開花の意)」ではそれをさらに自由に捉え、一つの音がミクロポリフォニーのような動きで広がって行き「音」であったものから徐々に「音楽」が生まれていくコンセプトのもと作曲。いわゆる「テーマ」が存在せず、ピアニスト関谷友加里とドラマー伊波大輔のインプロビゼーション、構築されたアンサンブルでサウンドの美しさというものを構築していくという、書いているうちはウンウンと頭を抱えていたのですが、たどり着いたのはとても単純なことでした。
テーマとかソリとかシャウトコーラスとかイントロエンディングインタールードとか、そんな形式的なものがあろうがなかろうが、問題はサウンドしているか、世界観があるかどうか。そしてビッグバンドのようにインプロバイズを含むコンポジションとしては、ソリストのアイデアを制限しないのと同時にソロに方向性をつけること。一見相反するもののようですが、アイデアを自由にさせつつそれを迷子にさせないような曲作りというものが、特に現代の曲には必要なのではないかと思います。
曲中にフリーソロ、というよりこの曲の場合カデンツァの方がしっくり来るのですが、とにかく関谷さんが一人で自由に弾く場面がありました。息を呑むような演奏で、非常に自由ながらも作品としての統一性を強く感じる、素晴らしいカデンツァでした。これが出来るであろう、そしてこれを聴きたくて関谷さんをフィーチャーしたという節もありますが、インプロバイズに対してコンポジションが良い刺激になっていたのであれば嬉しいですね。

そしてEfflorescenceを書こうとしていて生まれた曲が11月に東京で初演された「Luminous」。そういう経緯もあり基本的な調が同じDb(Bbマイナー)です。
Luminous(ルミナス)は発光体という意味で、夜空に浮かぶ発光体のようなイメージで作曲しました。ピアノでの中音域のペダルトーンをひとつの鍵として展開していきます。ペダルトーンに対してコンスタントストラクチャー(構成音の平行移動)というのは定番の手法ですが、ブロックまるごと全部で使うというのは初めての試みでした。
実はこの曲、初演時には「Noctilucent Clouds(夜光雲)」というタイトルがついていたのですが、それが小難しくてなかなかタイトルを覚えてもらえない上に何と自分自身がタイトルを思い出せなくなることがあり、分かりやすいLuminousに変更したという経緯があります。ですがその後お客様から「Luminousは宇宙を感じる」との評を頂いたので、タイトルが何であろうが音でちゃんと伝わってるんだなということを再確認できたのは創作に対して非常に励みになりました。

そしてそれらの曲とは真逆!!の非常に分かりやすくもありコミカルな面もある曲が、もうタイトルにも表れていますが「Chocolate Avenue」、Preparation以来のリズムチェンジの曲です。Fキーのリズムチェンジで、テーマがあり、ソリがあり、ソロがあり、シャウトがあり、リキャップテーマがあり、エンディングは…あったかなあ?
この通り非常に保守的な王道スタイルで書いたのですが、Efflorescenceを書き始めてからこの曲を書き上げるまでが一ヶ月以内の出来事で、頭の転換をするのに苦労した覚えがあります。
みんなで楽しめるような曲であり、アマチュアバンドの方々にもぜひ挑戦してみてほしいなと思っています。

なんにせよこんな好き放題書いてもやってくれるバンド、というか技術的、感性的に出来てしまうのが京都コンポという驚異的なバンドです。次回名古屋に来るのは7月ごろだと思いますがその際にはみなさまぜひお越しください。
Discographyページには京都コンポのCDも紹介しています、試聴もできますのでぜひ聴いてみてください。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA